現実 身体にふれるものはなかった 白いキャンバスに 初めて絵の具を置いたように 青い空に 私が一人いた 電車に乗ったように 景色は流れていく ホームに残してきたように 君は遠ざかっていく 君が目の前にいた一瞬が 心に焼き付いて永遠となるから 私も笑って腕を伸ばした イブの微笑み あなたはどこで誰と幸せになるの? 私はあなたと一緒ならどこでも幸せよ あの神様は許さないでしょうね でも やむをえないわ こんなことで追われる楽園なら むしろ私たちが捨ててやりましょう 今まで知らなかったその想い なんと甘いことでしょう 一度味わったら もう二度と戻れない さあ一緒に行きましょう 抱く苦しみもすべて 私たちの愛となるのだから あなたは幸せになれるわ 二人ならどこだって楽園となるのだから 禁断の果実 口にしてはいけないよ それが約束だった でもあの赤い色が 心を狂わせる もぎとりたい 口づけたい 口にしたら それが楽園の閉幕の合図 口にしたら 新たな始まりが訪れる アダムの墜落 閉じ込められていたはずの楽園は いとも簡単に開かれた 君は私を解き放った これが私の望んだ世界 私の体は何にも縛られていない これが私の選んだ世界 逆光の君はきっと微笑んでいた 私にはわかっていた 君の背に光が見えたから たった一つのことで終わった あの部屋は楽園か 甘い囁きに絡め取られながら 現実へと押しやられる 一緒にいようと誓ったのは誰だろう 伸ばした手の先には空 遠ざかるもどかしさ 楽園を去る夢 それこそただの幻だった けれども気づけずに私は 破滅の道筋を転げ落ちた 熱い背と冷えた胸の狭間で 重力は引かれ合って 私は惨めに墜ちていく 君を傷つけ 君を失った あの部屋は現世か 罪に罰を加えながら 奈落へと投げ出された 裏切ったのは誰だろう 私が望んでいたのはこんな自分だろうか 私が望んでいたのはこんな痛みだろうか 本当に私を縛っていたのは何だというのだ 束縛を恐れて 彼女を連れて楽園を去るつもりだったのに なぜ私はひとり 楽園の淵から転がり 現実からも追いやられようとしているのだろう 醜い心を逆風が煽る 繋いだ手を振りほどきながら 残された君は何を思う 全てを悟ったようなまなざしで 私の罪をその唇で歌ってくれないか 苦い別れの歌を 夢から覚めた現実を こんなにも苦しいのは 禁断の果実が 喉に張り付いたから もう何も言えないのは 禁断の果実が 口に深く埋もれたから 楽園の窓辺から 落ちていく 落ちていく 君が落ちていく 風は地へと吹くのか 落ちていく 落ちていく 君が落ちていく 重力を私へ捧げて 小賢しい言葉が 私の腕を掴んだ さあ あなたはそこで苦しむがいい そこがあなたの現世だ 死んでいく 死んでいく 君が死んでいく 地に生は広がる 死んでいく 死んでいく 君が死んでいく 遠ざかる体温の色 冷ややかな一瞬が 私の永遠となった さあ 好きなだけ味わうがいい 禁断の果実の味を 幼い衝動に全てを任せて 生きられるはずはなかった 裏切りが招いたのは 無惨な現実 愚かなアダム... そして... イブ... |