老いた木は語る

あの頃 私は
小さな芽だった
皆に喜ばれる
小さな芽だった
大事に守られて
希望と謳われた

あの頃 私は
大きな木だった
皆が囲んでも
足りないくらい
旅人は寄りかかり
木陰は愛された

ある日 私は
ばらばらになった
皆が力をあわせ
ばらばらになった
そして私は
あちこちで
無数の生を受けた

ある時 私は
椅子になった
老人が腰掛け
子供に読む物語を
黙って聞いていた

ある時 私は
車輪になった
重い荷物を載せて
石を踏んで歩いた
野をどこまでも
轍を見つめながら

そして 私は
柩になった
死者を抱いて
かつて私だった薪で
燃やされて
そのまま
空へ昇った



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