つばさ

君の強さはここではまるで役に立たない
僕のそばにいるだけ無駄なんだ
二人の視線が違うだけでこんなにも
足元の地面がでこぼこに見えるよ

見つめなれた背は小さくて
どこにそんな力があるのか
迷わずひるまず僕の手を引いて進む

もしも君が弱かったら 僕はここにはいないだろう
もしも僕が強かったら 君はここにはいないだろう
どうして出逢ったんだろう
この手を今 放したら
二度と君とは逢えないのかな

足音の間隔がずいぶん短くなったね
僕は少しよろめきそうになる
二人の歩幅が違うだけでこんなにも
君を取り巻く世界の狭さを知る

たとえばあの空の端のつづき
ここよりも広かったなら
迷わず僕は君にそこを教えるのに

二人はどこまで行けるかな 二人でどこまで行けるだろう
前だけを見つめる君の目には何が映っているんだろう
知るのがとても怖いよ
この手を今 放したら
君はふりむいてくれるかな

もしも一度でも この足が地面を知ってしまったら
きっと僕はもう二度と飛べはしないだろう
けして揺らぐことない世界で 空を見上げるだけ
もしも何度でも その手足が身体が地面についても
きっと君はもう一度飛ぼうとするだろう
何度でも地面を蹴って蹴って 空だけを見上げる

君の中の僕はとても大きく見えるだろう
でも それは違うんだと言えなかった
君の強さがあまりにも脆かったから

君をこのまま見送ろう
僕のたった一度の決心
僕のつけた傷はきっと君の力になる
信じている
君の背には可能性があること
僕が一番知っているから

羽ばたいて 誰よりも
君はあの空が似合う


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